自然人類学シラバス

授業科目名:自然人類学
英語科目名:Physical Anthropology
担当者:五百部裕
選択・必修の別:必修科目
単位数:2単位
授業の方法:講義
授業を行う年次:1年次春学期

一般教授目標
 文化人類学が人類の文化的側面に焦点を当てた研究を行う学問分野であるのに対し、自然人類学は人類の生物的側面について研究する学問分野である。一見文化的と思える現象においても、生物としての人類という側面抜きには理解できないものも散見される。そこでこの講義では、文化人類学科の学生として最低限身につけて欲しいと考えられる人類の生物的特徴のいくつかを、生物として逃れようのない進化という観点から講義する。具体的には、人類の形態的進化についての紹介や直立二足歩行の獲得をめぐるいくつかの仮説の妥当性の検討、さらには、狩猟・肉食行動、道具使用、言語など人類に見られるいくつかの特徴の起源と進化についての解説を行う。

授業計画
1)自然人類学とは
GIO:自然人類学とはどのような学問であるのか、また、何を対象として研究を行っているのかといった点を理解する。
SBO:人類学の最終的な目標や人類学の中での自然人類学の位置づけについて説明することができる。
2)人間の系統的位置づけ
GIO:生物の分類に習熟するとともに、人間(現生人類)の系統的位置づけについて知る。
SBO:人間の系統的位置づけを述べることができる。
3)霊長類の進化
GIO:人類出現までの霊長類の形態と生態の進化について知る。
SBO:人類出現までの霊長類の進化について述べることができる。
4)アウストラロピテクス類(I)
GIO:化石に基づく証拠としては最も古い人類であるアウストラロピテクス類(猿人類)の形態的特徴について知る。
SBO:アウストラロピテクス類の形態的特徴について述べることができる。
5)アウストラロピテクス類(II)
GIO:化石人類学や考古学から得られた資料をもとに、アウストラロピテクス類の生活について知る。
SBO:アウストラロピテクス類の生活について述べることができる。
6)ホモ属の特徴
GIO:ホモ・ハビリスとホモ・エレクトスの形態的特徴やその生活について知る。
SBO:ホモ・ハビリスとホモ・エレクトスの形態的特徴やその生活について述べることができる。
7)現代人の登場
GIO:現代人(Homo sapiens)の形態的特徴や進化の道筋について知る。
SBO:現代人の形態的特徴や進化の道筋について述べることができる。
8)人類進化の理論(I)
GIO:人類が何故直立二足歩行をするようになったのかという点について論じたいくつかの仮説の中で、狩猟仮説とその変形のいくつかの仮説について知る。
SBO:狩猟仮説の内容を述べることができる。
9)人類進化の理論(II)
GIO:直立二足歩行の獲得を説明する仮説の中で、現在もっとも妥当なものと考えられているエネルギー効率仮説について知る。
SBO:人類進化に関するいくつかの仮説の妥当性を検証することができる。
10)道具使用行動の進化(I)
GIO:現生の類人猿に見られる道具使用行動の特徴を人間の道具使用行動と比較しながら理解する。
SBO:人間の道具使用行動の特徴について述べることができる。
11)道具使用行動の進化(II)
GIO:道具使用行動が人類進化に果たした役割について理解する。
SBO:道具使用行動の進化とそれが人類進化に果たした役割について述べることができる。
12)狩猟・肉食行動の進化(I)
GIO:現生の類人猿や狩猟採集民の生活から、人間とその近縁種に見られる狩猟・肉食行動の特徴について理解する。
SBO:人間の狩猟・肉食行動の特徴について述べることができる。
13)狩猟・肉食行動の進化(II)
GIO:狩猟・肉食行動が人類進化に果たした役割とその進化の道筋について理解する。
SBO:狩猟・肉食行動の進化とそれが人類進化に果たした役割について述べることができる。
14)言語の起源と進化
GIO:類人猿の心理学的実験と化石資料から得られた知見をもとに、言語の起源と進化について理解する。
SBO:言語の進化について述べることができる。

学習方略
 板書を中心にして講義を進める。また、できるだけビデオやスライド等の視聴覚教材を利用し学生の理解をはかる。

評価方法
 1)学生に対する評価方法は、定期試験の結果を中心に評価する。
 2)教員の講義に対する学生の評価は、講義に対する学生の感想という形で定期試験の際に提出させる。

教科書・参考書
 教科書は使用しない。
 参考書として片山一道編著「人間史をたどる:自然人類学入門」(朝倉書店)を薦める。
 その他の参考書は、授業の進み方に合わせて適宜紹介する。

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