霊長類学のシラバス
授業科目名:霊長類学
英語科目名:Primatology
担当者:五百部裕
選択・必修の別:選択科目
単位数:2単位
授業の方法:講義
授業を行う年次:2年次秋学期
一般教授目標
霊長類学とは、人類とそれ以外の霊長類(サルの仲間)を比較しながら、人類の進化や生物的基盤を明らかにしていこうとする人類学の一分野である。霊長類学の進展にともなって、かつて人類に固有と考えられていた多くの特徴を、人類以外の霊長類も共有していることが明らかになってきた。そこでこの講義では、私の専門分野である霊長類の社会・生態学的分野を中心に、霊長類学の最新の知見を援用しながら人類と人類以外の霊長類の共通点や違いを論じ、人類の進化について考察していく。具体的には、霊長類の形態や社会、進化史の紹介や、チンパンジーやゴリラといった人類に近縁な霊長類の社会や生態についての解説を行う。
授業計画
1) 現生霊長類の分類
GIO 現生霊長類約200種の分類について知る。
SBO 現生霊長類を科レベルで分類することができるようになる。
2) 霊長類の特徴(I)
GIO 現生の霊長類の様々な特徴、とくに手足の特徴について知る。
SBO 霊長類の手足の特徴を具体的に述べることができる。
3) 霊長類の特徴(II)
GIO 現生の霊長類の様々な特徴、とくに視覚や大脳の発達といった特徴について知る。
SBO 霊長類の視覚や大脳の発達について具体的に述べることができる。
4) 原猿類の生態と社会
GIO 原始的な霊長類である原猿類の生態と社会について知る。
SBO 原猿類の生態と社会について述べることができる。
5) オナガザルの生態と社会
GIO ニホンザルを中心として、オナガザル科霊長類の生態と社会について知る。
SBO オナガザル科霊長類の生態と社会について述べることができる。
6) 類人猿の系統的位置づけと形態的特徴
GIO 人間に系統的に最も近い現生の動物群である類人猿の系統的位置づけや彼らの形態的特徴について知る。
SBO 類人猿の系統的位置づけと形態的特徴を述べることができる。
7) ゴリラの生態と社会
GIO アフリカに生息する大型類人猿であるゴリラの生態と社会を知る。
SBO ゴリラの生態と社会について述べることができる。
8) チンパンジーの生態と社会(I)
GIO 人間に最も近いと考えられているチンパンジーの生態を乾燥地への適応と関連させて理解する。
SBO チンパンジーの生態について述べることができる。
9) チンパンジーの生態と社会(II)
GIO チンパンジーの社会と行動を社会知能仮説と関連させて理解する。
SBO チンパンジーの社会について述べることができる。
10) ビーリャの生態と社会(I)
GIO アフリカの熱帯多雨林地域に生息するビーリャ(ボノボ、あるいはピグミーチンパンジー)の生態と社会について知る。
SBO ビーリャの生態と社会について述べることができる。
11) ビーリャの生態と社会(II)
GIO ビーリャの最大の特徴である性行動の多義的な使用について知る。
SBO 性行動の進化について述べることができる。
12) 家族の進化
GIO 人間と類人猿の社会の比較から、人間家族の進化の道筋を知る。
SBO 人間家族の進化について述べることができる。
13) 「文化」の進化
GIO 人間と人間以外の霊長類の行動の比較から、「文化」の進化について考察する。
SBO 「文化」の進化について具体的証拠に基づき論じることができる。
14) まとめ
GIO 霊長類学の成果をもとに「人類」、あるいは「人間」とはどのような存在であるかを知る。
SBO 人類以外の霊長類と人類の相違を生物学的観点から述べることができる。
学習方略
板書を中心にして講義を進める。また、できるだけビデオやスライド等の視聴覚教材を利用し学生の理解をはかる。
評価方法
1)学生に対する評価方法は、定期試験の結果を中心に評価する。
2)教員の講義に対する学生の評価は、講義に対する学生の感想という形で定期試験の際に提出させる。
教科書・参考書
教科書は使用しない。
参考書として西田利貞・上原重男編著「霊長類学を学ぶ人のために」(世界思想社)と杉山幸丸編著「霊長類生態学」(京都大学学術出版会)を薦める。
その他の参考書は、授業の進み方に合わせて適宜紹介する。
京都文教大学の教育のページ
五百部裕のページ