新聞・テレビの天気予報は卒業しよう

「天気予報が当たらない」と文句を言っている人は、正しい情報を得ていないからかもしれない。たとえば週間天気予報で6日後の天気を探ってはダメ。

役に立つ気象情報を得るには以下の2点を心がける。
1.できるだけ最新の情報を得る。
2.できるだけ細かい地域の情報を得る:県レベルより町レベル。

上の基準だと、新聞(日2回)のお天気闌は失格(新聞の天気図は半日前)。テレビの天気予報も数時間おきだから、最新情報は得られない。しかもこれらマスコミは、予報も県レベルのおおざっぱさ。これでは使えない。つまり、大多数の人は、実用にならない気象情報にいまだに頼っているわけ。

じゃあ、実用とはどういうことか、たとえば下のような情報がほしくはないだろうか(→は使える気象情報の種類)。

●ちょっと数時間出かけたいんだけど、ふとん干したままで大丈夫か(→分布予報)

●テレビで、夕方「所により雨」と予報が出たけど、私の出かける所は雨なのだろうか(→分布予報)

●明日遊びに行く行楽地の行っている間の天気・最高気温を知りたい(→分布予報)

●遠くで雷が光っているけど、こっちに来るんだろうか(→レーダーアメダス解析)

●住んでいる地域に大雨警報が出ているけど、自宅周辺は危険なのか(実際に被害がでるほど大雨が降るのは警報が出された地域よりも狭い)(→レーダーアメダス解析)

●今降っている雨はあと何分・何時間後に止むか(→レーダーアメダス解析・分布予報)

●台風が接近してくるようだが、自分の家は暴風(被害が出る風速)域に入るか→進路予想とレーダー予想図


「週間天気予報」は信頼性が低い

インターネットに常時接続している人は、新聞の「週間天気予報」を頼るレベルを卒業しよう。このレベルのままだと「明日の天気」と「6日後の天気」の予報精度の大きな差異に気づけない。
なぜ大きな差異となるのかというと、気象現象は「カオス」だから。つまり、初期値の微細な誤差がまったく異なる結果を導くのだ(カオスについては映画「ジュラシックパーク」に出てきた数学者の説明がわかりやすい。つまり、手の上に水滴を乗せて、その水滴が乗り物の中でどの方向に落ちるかの予測は難かしいという話)。だから予想の間隔が先であるほど、信頼性が激減する。つまり星の運行の予想と異なり、気象現象は「本質的に予測不能である」ことが科学的に証明されているのだ。だから週間予報での「明日」と「6日後」の予報の当たる確率は全然違う。信頼していいのは明後日までだ。週間天気予報の三日後以降は、予報ではなく「予想」と思ってほしい! 
だから「長期予報」はなおさら、経済評論家の景気予測と同程度の信頼性と思って聞き流したほうがよい。長期予報は仕入れ業界などからニーズがあるけど、無理して答える必要はない。だって世間は経済学者や経済産業省に3ヶ月後の平均株価や為替レートの予報を出せとはいわないでしょ。経済現象もカオスなわけ(しかも社会現象には予想が行動に影響をあたえるアナウンス効果がある)。私は「気象学」が明日の天気ばかりか最高気温まで予測できる(天気の的中率80%)、すなわち、カオスに果敢に挑戦していることがすごいと感動している。でもカオスだから本質的に限界があるわけ。

その本質的限界を理解した上で気象情報を活用しよう。たとえば、カオスであることを逆にみれば、近い先である程、予想の信頼性が高いということ。明日の天気より、今晩の天気、更に数時間後の天気なら更に的中確率が高い(情報的価値が高い)のだ。この情報を使わない手はない。1週間後の天気は占い師にまかせて、24時間以内の細かい予報を気象観測から出してみよう。
※ただし、週間予報や長期予報にも精度を高める努力が日々進行しているのも確か。なので、表現を穏やかに変更した。

これを読んだら、さあ実践、「気象情報リンク(初級)」へ進もう。