浜松-天竜市-秋葉-水窪-青崩峠-遠山-地蔵峠-大河原・鹿塩-分杭峠-長谷-高遠-杖突峠-諏訪大社-(尖石-八ケ岳山麓)
諏訪湖で,フォッサマグナ(大地溝帯)から別れ,南アルプス(赤石山脈)の西麓を縦走する,日本最大の断層帯である中央構造線.その断層帯は天竜川と並行して南北に南アルプス西麓の奥深い里を縦断している(さらに近畿・四国に延びている).それらの里は,日本最高の山地「南アルプス」の3000m峰から落ちる三峰(みぶ)川,小渋川,遠山川などいずれも天竜本流におとらね大河に面し,飯田線の走
る開けた伊那谷とは伊那山脈に阻まれて隔絶した別天地となっている.
その地形のため,大河原,遠山,水窪(みさくぼ)などの山里は,いわゆる「三遠南信」と総称される地域圏として,(いずれも同県の尾張,駿河,北信に対して分県運動をしてた)県境をこえた共通の民俗文化が息づいている.また南朝親王の隠れ里,武田信玄南進の道,江戸城大奥の絵島の配流地など歴史の舞台ともなってきた.
これらの里は標高1000mを越す杖突峠・分杭峠・地蔵峠・青崩(あおくずれ)峠の難所(断層のため急峻で崩壊しやすい)をぬけて一本の街道で結ばれている.それが中央構造線の上を通る秋葉街道(国道152号線)だ.これは諏訪と秋葉を結ぶ信仰の道であり,海の遠州から山の信州への「塩の道」という生活の道でもあった.この秋葉街道をたどれば,山里を結んだ中央構造線の旅ができる.
登山者の一人として南アルプスが大好きな私は,前からこの構造線の峠を越えることを夢見ていた.それぞれの里には飯田線(伊那)側から川沿いに入れるが,どうせなら構造線にそって峠を越えて南北に縦走したい.それぞれの地に温泉が沸いているのも楽しみ.
ただ、縦走するのではなく,それぞれの里をじっくり味わうには日数が必要.たまたま1999年の11月後半に一週間空きができたので,日数をかけて秋葉街道を北上する計画を実現した.南下ではなく北上を選んだのは,最後は杖突峠で諏訪湖と八ケ岳の大展望をフィナーレとしたかったから.
ついでに,杖突峠に達したら正面に一望できる八ケ岳を素通りするわけにはいかなくなる.それに八ケ岳山麓の尖石考古館にはぜひ行きたい.山麓にもいい温泉がある.塩の道から離れるがそのフィナーレとして,南アルプスの次に好きな八ケ岳に遊ぼう(上地図の黒い線がおよそのルート).
ちなみに青崩峠・地蔵峠ともに国道152号線は地図の上だけで実際には通っていない.断層帯のため工事が進まないのだ.そして南アルプス西側で唯一貫通している分杭峠は土砂崩れで北側が通行止め(迂回路あり)だった.さすが中央構造線!
※本サイトに載せた地図はすべてアルプス社に著作権があります.
参考資料