ウシのようなサル(1/4)
- ここでは、ソトコト2002年3月号に掲載された「ウシのようなサル」という報告をもとに、コロブスの特徴について紹介します
- ソトコトに掲載された写真は著作権の関係でここには掲載しません。かわりに日本モンキーセンターなどで私が撮影した写真が掲載されています
- 「ウシのようなサル」は、このページを含め全部で4ページです
- コロブスはウシだ。アフリカ、タンザニアの森でアカコロブスを観察していたときに受けた印象はこの一言に尽きます。サルの研究をはじめる以前、卒業研究で、鹿児島県トカラ列島の口之島に生息する野生化ウシの観察をしていました。そのときウシに抱いたのと同じ印象を、アフリカの森の中で受けたのです。
- それは、彼らがウシと同じように、日がな一日、のんびりと食べては休み食べては休みという生活を送っていたからでしょう。サルというと、活発に動きまわり、騒々しくけんかをしたり遊びまわったりするものと考えがちです。
- 実際それまで観察してきたニホンザルやピグミーチンパンジーは、このように振る舞っていました。しかしコロブスを観察しているとこうした場面に出会うことは少ないのです。彼らはほとんど声を出すこともなく、毛づくろいやけんかといった個体間の社会交渉も極端に少ない連中なのです。
- 群れをつくって集団で生活しているのは、他のサルと同じです。しかし、他のサルに比べて個体間距離が長く、1頭1頭がてんでばらばらに食べたり休んだりしています。
- こうした特徴が、集団の輪郭があいまいで、それぞれの個体が気ままにのんびりと草を食むウシを連想させたのでしょう。そしてコロブスがウシと似ているのは、こうした活動パターンだけではありません。食べ物もまた似ているのです。
- ちなみに左の写真はマハレのアカコロブスの親子です。
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