ウシのようなサル(2/4)
- 左の写真は、ウガンダ、カリンズ森林のアビシニアコロブスとアカオザルです。アフリカの森ではこの写真のように何種類かのサルが同じ場所で採食したり、休息したりすることは珍しくありません。
- そもそもサルの食べ物というと、果実や葉などの植物性のものを想像する方が多いでしょう。動物園などで、バナナやりんごなどを食べている光景を目にすることは多いと思います。
- 中には、昆虫を主食にするものや、チンパンジーのように哺乳類の肉を食べる連中もいることはいます。しかしこうした例外を除けば、たしかにサルの仲間には植物性の食べ物を主食にしているものが多いのです。
- ところが植物性の食べ物といっても、多くのサルは果実を主食にしており、葉を主食にしている連中は多くはありません。その秘密は植物の適応戦略に隠されています。
- 植物は光合成によって生活に必要なエネルギーを作り出しています。そしてこの光合成を盛んに行っているのが葉です。植物にしてみれば、重要なエネルギー産生器官である葉を、動物に食べられてしまうことは大きな損失になります。そこで植物は、葉にセルロースなどの繊維質を大量に含んだり、消化酵素の働きを阻害するタンニンなどの有毒物質を含むことで、動物に簡単に葉を食べられないように進化してきたのです。
- 一方、動くことができない植物は、自分の子孫を増やすために種子を動物に運んでもらうという方法を進化させました。種子を甘い果肉で包んだ果実をつけ、種子と一緒にこの果実を動物に食べてもらうようになったのです。
- 当然こうした果実には、動物の消化を妨げるような物質はあまり含まれていません。そこでセルロースなどの繊維質を分解する酵素を持っていない脊椎動物の多くは、植物性の食べ物といえば、果実など消化しやすい部分を主食にしているのです。
- ところが脊椎動物の中には、大量に葉を食べて生活している連中もいます。その代表がウシです。そしてサルの仲間ではコロブスがその代表です。ではなぜ彼らは大量に葉を食べることができるのでしょうか? その答えは、彼らの消化管、とくに胃のつくりにあります。
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