霊長類に見られる被食−捕食関係 (2/6)
2.アカコロブス
a): アカオザルとアオザルの合計値、b): マハレでは1997年に初めてチンパンジーによるヒヒの狩猟が観察されたが、この表に示した調査時期にはチンパンジーによる狩猟は観察されなかった、c): 参考文献 4、d): 参考文献 5、e): 参考文献 6
表1.チンパンジーの狩猟対象の3調査地間の比較 |
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獲物の種類 | | マハレ | ゴンベ | タイ |
霊長類 | アカコロブス | 83.3% | 81.6% | 77.0% |
| キングコロブス | いない | いない | 14.0 |
| オリーブコロブス | いない | いない | 2.5 |
| アカオザル | 1.4 | 0.5a) | いない |
| アオザル | 0.3 | | いない |
| ダイアナザル | いない | いない | 4.0 |
| ミドリザル | 0.3 | 0 | いない |
| ヒヒ | 0b) | 2.1 | いない |
| グエノン類 | 10 | 1 | 4 |
| スーティマンガベイ | いない | いない | 1.2 |
| ポト | いない | いない | 1.2 |
有蹄類 | ブルーダイカー | 7.5 | いない | 0 |
| ブッシュバック | 3.4 | 5.1 | いない |
| ブッシュピッグ | 1.7 | 10.3 | 0 |
その他 | | 2.0 | 0.5 | 0 |
- 野生チンパンジーの狩猟・肉食行動に関して豊富な資料が収集されているタンザニアのマハレとゴンベ国立公園、コートジボアールのタイ国立公園では、おもしろいことにいずれの調査地でも、アカコロブスと呼ばれる霊長類がもっともよくチンパンジーに食べられています(左の表1を参照)。
- アカコロブスはオナガザル科コロブス亜科に属する霊長類で、アフリカの熱帯林を中心に分布しています。広い分布域を持つため、チンパンジーと同じ場所に生息することも多いのです。彼らはおとな雄の体重が10kg弱の中型の霊長類です。コロブスの仲間は木の葉食いに特殊化しています。これは彼らの胃が反芻動物と同じようにくびれており、その前方の部屋に細菌を飼うことで、普通の霊長類では消化しにくいセルロースなどの化合物をたやすく消化できるためです。
- 彼らは複数のおとな雄とおとな雌からなる複雄複雌群を形成します。群れの大きさは場所により30頭程度から80頭程度です。遊動域の大きさは、マハレでは約30haです。
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