アフリカのチンパンジーのリハビリ施設2 (2/4)
- コンゴのリハビリ施設
コンゴでは、1992年の段階で、月平均1頭の割合で赤ん坊のチンパンジーが密猟者から没収されていました。1992年時点で、こうしたチンパンジーを収容することを主な目的とした施設が、コンゴには三つ作られていました。このうちの二つを1992年度のチンパンジー調査の際に見学してきました。この見学してきた施設以外に、コンゴ国内には、首都であるブラザビルに、動物園を利用したチンパンジーの収容施設がありました。
- JGI
- JGI(Jane Goodall Institute)は、タンザニアのゴンベで40年以上にわたり野生チンパンジーの研究を続けてきたJane Goodallさんが作った組織で、世界各地でチンパンジーの保護活動や、環境保護の運動に取り組んでいます。
- このJGIが運営しているチンパンジー・リハビリ施設が、コンゴ第2の都市で、大西洋に面したポアントノアールから50キロメートル程のサバンナの中にあります。
- 左の写真の奥、右手に見えている森がJGIが使っている森です。
- この施設は、電気柵で囲われた数十ヘクタールの森とこの森に隣接したケージからなっています。ケージは、10の小部屋と一つの大部屋に分けられていました。
- 右の写真は、ケージのある建物です。
- そもそもこの施設は、コンゴに進出していた外資系の石油会社が建設したものでしたが、この会社がコンゴから撤退し、サンクチュアリーの運転資金に困ってしまったので、JGIが運営に乗り出したということでした。
- 左の写真は、電気柵で囲われた森です。
- 1993年3月の時点で、2頭の大人と32頭の子供、赤ん坊のチンパンジーがここで生活していました。子供と赤ん坊は圧倒的に雄が多かったです。
- ここで生活しているチンパンジーは、ブラザビルの動物園にいたものや、1991年に起きたザイール(現コンゴ民主共和国)での政治的混乱の際にザイールから連れてこられたもの、あるいは密輸取り締まりの結果収容されたものたちでした。
- 赤ん坊と子供は、昼間は森で生活し、夜はケージの中で寝ていました。将来的には、夜も森の中で寝させるようにしたいとのことでした。一方、大人は管理上の問題から終日ケージの中で過ごしていました。
- 右の写真は、森から帰ってくるチンパンジーの子供たちです。
- 左の写真は、森の中で遊ぶチンパンジーの子供たちです。
- チンパンジーは、基本的には、右の写真のような朝夕与えられる果実中心の食事で生活していました。赤ん坊や子供の中には、森の中で野生の果実を食べ始めたものもいました。
- スタッフに聞くと、地形の関係で、水の確保に苦労しており、また、電気柵で囲われた森が狭いといった点が問題であると言っていました。さらに、将来的には、周囲の森に放したいと考えているのですが、サバンナ地帯のため、チンパンジーが自分たち自身で生きていくのに好適な環境ではないという点も問題だとのことでした。
戻る
次へ
チンパンジーの世界へ