ウシのようなサル(3/4)
- ご存知の方も多いと思いますが、ウシの胃は四つに分かれています。そして第1胃と第2胃と呼ばれる部分に細菌や原生動物などの微生物がいます。
- 実は葉を消化しているのはこうした微生物なのです。ウシもまた、葉を分解することができる消化酵素を持っているわけではありません。自分の胃の中に葉を分解することができる微生物を共生させることによって、大量に葉を食べることができるのです。
- 左の写真はコロブスの胃です。実は彼らの胃もウシと同じようなつくりになっています。ふつうサルの胃は私たちと同じように、一つの部屋からなります。ところがコロブスの胃はウシと同じように、いくつかの部屋に分かれています。そしてその中の一つに微生物を共生させることによって、彼らは大量に葉を食べる生活を送っているのです。
- コロブスとは、正式には霊長目オナガザル科コロブス亜科に属するサルのことです。アフリカに生息するクロコロブス属とアカコロブス属、アジアに生息するコノハザル属、ハヌマンラングール属、シルバールトン属、ドゥクザル属、テングザル属、メンタワイシシバナザル属の八つのグループからなります。
- そもそもコロブスという名前は、ギリシャ語の「kolobos」(切断された)が語源です。サルの仲間は一般に私たちと同じように5本の指を持っています。しかしコロブスの親指はいちじるしく短くなっており、4本指のように見えるのが特徴です。そしてこの特徴が彼らの名前の由来になっています。
- 彼らは、アフリカとアジアの熱帯林を中心に分布しており、樹上生活に適応した連中です。親指が短くなっているのは、樹上を移動するときに、頻繁に木から木へ飛び移るという彼らの移動様式と密接に関係していると言われています。ときに彼らは、20メートル近くも飛び降りることがあります。そのとき、親指が短い方が飛び降りた先で枝をつかみやすいと考えられているのです。
- またコロブスの新生児の体毛の色は、おとなと異なる場合が多いのです。これは母親以外の雌による新生児に対する子守り行動が頻繁に見られることと関係していると言われています。
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