トカラの森のウシたち
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野生化ウシ 2
5.行動域
- 1頭1頭は約0.3km2の行動域をもち、これは季節的に変化しない安定したものでした。
6.社会関係
- 行動域を重複させている10頭前後の個体が近隣関係を保ち、輪郭は漠然としているが地域集団と呼べるようなまとまりを形成していました。
- ここでいう「近隣関係」とは、今西錦司が都井岬の半野生馬の社会調査において提示した概念で、「つねにかならずしもひとつのグループをつくっているのではないが、行動域を重複させており、お互い顔見知りの間柄で、必要に応じて容易にひとつのグループになりうる関係」のことです。そして、この地域集団のレンジの中心には杉の植林地や水場があり、ウシがとくによく利用する場所になっていました。
3.集団の形成
- 野生化牛は、7〜8頭のグループをつくることはありましたが、深い照葉樹林や竹林の中では1頭だけで発見されることが多く、グループの平均サイズは1.8頭でした。
- グループは離合集散が激しく、母子のきずな以外の社会的な強い結びつきは認められませんでした。この写真は二組の親子が一緒に行動しているところです。
- かれらは、同じ地域集団のメンバーの間でグループをつくることが多いのですが、地域集団のレンジの重複域と考えられる部分では、地域集団を異にする個体間でグループをつくることもありました。
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